湯の花どっさり!標高1,300mの秘湯で楽しむ2種の泉質【幕川温泉・吉倉屋旅館】日帰り

こんにちは!ブログ管理人・福島県在住のすみれです。今回は福島市(猪苗代寄り)、奥土湯峠温泉郷にある幕川温泉「吉倉屋旅館」の日帰り入浴をレポート。

 

ネット上の口コミ情報が少なく、じゃらんや楽天で検索してもでてこない期間限定(冬季休業)の秘湯宿ですが、遠方からでも訪れてほしい名湯です。

 

特徴は2種類の泉質を一度の訪問で楽しめること。乳白色の硫黄泉と、トロリとした透明の単純泉があり、いずれも消毒や加水など一切ないピュアな源泉かけ流しです。

 

  • 100%源泉かけ流し
  • 2種類の泉質
  • 絶景露天風呂あり
  • 秘湯を守る会会員宿
  • 日帰り入浴可(700円、10:00~15:30)

 

幕川温泉「吉倉屋旅館」について

福島市の端にある土湯峠温泉郷に点在する6つの秘湯宿のうちの一つ、幕川温泉(読み方:まくかわ)「吉倉屋旅館」。こんなところにあるの?という標高1300mの山奥にあり、その道中も秘湯感たっぷりです。

美しい新緑に囲まれた車が1台しか通れない狭い山道

約15分、車が一台しか通れないようなスリリングな細い山道を下っていきます。たまに車寄せスペースはありましたが、運転歴約2年の私は対向車が来ないか終始ドキドキ。結果、運よく誰にも出会いませんでした。

 

土砂崩れが起きそうな危険は細い山道

山肌の残雪や土砂崩れしそうな道も。山の天気は変わりやすいので、日帰り入浴なら時間に余裕をもって出かけるのがおすすめ。

 

木製の看板が指す先に建つクリーム色の外観の幕川温泉・水戸屋旅館

山道の終点には幕川温泉のもう一つの温泉宿「水戸屋旅館」があります。こちらも源泉かけ流しで2種の泉質がありますが、一番入りたい浴槽が混浴のため、こちらは今回スルーしました。

 

湯あみ着可(購入も可)とはいえ、常に男性が多いそうです。宿泊すれば女性専用時間があるので、こちらはいつか宿泊したいと思います。

 

黄色い看板の矢印の先に建つ幕川温泉・吉倉屋旅館

今回訪れた吉倉屋旅館は、終点のちょっと手前を右に下ったところにあります。

 

白い壁で横長の2階建ての外観

幕川温泉の2軒あるうちのひとつ「吉倉屋温泉」は2階建て、客室11部屋の小規模な温泉宿。宿泊料金は2名一室なら15,000円前後(1泊2食付)、一人旅も受け入れていて、その場合は2,000円加算です。

 

冬季(11月上旬~4月下旬)は雪のため休業しているので、訪問したい場合は早めに予定を立てるのがおすすめ。

 

鳥居のような太い柱が目を引く立派な入り口

そしてなにかと安心の「日本秘湯を守る会」会員宿。ちなみに、土湯峠温泉郷の6つある温泉宿のうち、3軒も秘湯を守る会の宿なんですよ。

温泉について

スリッパが整列した清潔なロビー

入り口を入ると、掛け時計などがあって昭和感たっぷり。鄙びた印象というより、湯治宿といった雰囲気。

 

特筆すべきことは、とにかく清潔で隅々まで掃除されていること。オーナーの愛情を感じる温かみのある宿だと思います。

 

通路に昔ながらの円形の石油ストーブが置かれた小さなフロント

小さいフロントがなんだかかわいらしい。フロント前には石油ストーブが置いてあるので、朝晩はまだまだ寒いんですね(5月中旬訪問)。

 

内風呂と露天風呂の場所と設備を記した温泉インフォメーション

受付を済ませると、宿の方から丁寧にお風呂の説明がありました、左は洗い場付きの内風呂(単純泉)、右は白い濁り湯の露天風呂(単純硫黄泉)。どちらも消毒・循環・加水・加温なしの純粋な源泉かけ流しです。

 

今日は露天風呂の湯温が安定せずぬるめ、とのことなので、私はぬるめ(露天風呂)→熱め(内湯)の順番で回りました。内湯は湯上り後スベスベになったので、この順番が個人的におすすめです。

 

露天風呂

早速、右側の露天風呂へ。

エンジ色の女湯ののれんと紺色の男湯ののれんが並ぶピカピカの通路

露天風呂入り口前の床がピッカピカ。ちょっと新しい感じがするので、ここから新館なのかな。

 

シンプルな脱衣カゴが3段並んだナチュラルな脱衣所

脱衣所はなかなか広くて、無駄な装飾物もなければ、ゴミ一つありません。リュックが余裕で入る4人分の木製ロッカーもあります(写真・左下)。

 

丸いシンクが2つ並ぶ小さな洗面台

洗面台は2人分。化粧水などのアメニティはありませんが、備え付けのドライヤーはあります。

 

5段ほど石の階段を下った先に濁り湯の露天風呂がある様子

温泉へは5段ほど階段を下りて向かいます。ちらっと見える白濁湯に興奮!

 

ブナの原生林が目の前に広がるブルーの白濁湯

周囲はブナの原生林になっていて、想像以上に景色抜群。人工物が全く見えない露天風呂って、意外と少ないんですよね。愛読の温泉本で見た写真より実物の方が素敵です。

 

浴槽内にある踏み石の上に大量に沈殿している白い湯の花

湯船の踏み石の上には白い湯の花がごっそり沈殿しています。私が踏んだ跡がくっきり。

 

浴槽の端と底に沈殿する大量の白い湯の花

底にも沈殿物がごっそり。すごい贅沢。早起きして11時前に到着したおかげか、女湯では私が一番風呂のようです。

 

ごつごつした石の湯口から源泉が勢いよく流れる様子

泉温は体感的に約39℃。やや薄めな感じがしますが、鮮度は良い感じ。ふんわりタマゴ臭が漂っていて、質感はマイルド。

 

浴槽の壁沿いにあるシャワーと蛇口

ちなみに、壁沿いにシャワーが一つあります。洗い場ではないので、身体についた硫黄のを洗い流す用かな?

 

木造づくりの立派な屋根

上を見上げると立派な木造の屋根も。

 

湯口付近に入浴しながら見える美しい自然

だらだらと20分程入っていました。ぬるめだけど、それはそれで心地よく、ふと気づいたらじわじわと汗ばんできました。

 

それにしても、ここは五感すべてがリラックスできる素晴らしいロケーション。爽やかな高原の風や時折聞こえる鳥の声、源泉の流れる音にかなり癒されました。

 

内湯

露天風呂の後は内湯へ。

ところどころにポスターが張られた内湯までの通路

フロントまで戻り、今度は左通路を奥へ進みます。

 

「湯神不動尊」と書かれた神棚

内湯入り口までは温泉の神棚が置いてあったり、

 

通路に置かれた灯りのついた「日本秘湯を守る会」提灯と黒い熊の剥製

熊の剥製や日本秘湯を守る会の提灯が置いてあったりして、湯治宿っぽい雰囲気が漂っています。

 

木製の温泉分析書がかけられた内湯の入り口

壁に内湯の温泉分析書が張れています。コーラの自販機は使用不可。

 

シンプルな脱衣カゴが3段並ぶ広いきれいな脱衣所

脱衣所は宿の規模にしては大きめ。簡素ですが、こちらも無駄なものがなく、ミニマリストが好みそうな雰囲気。

 

青いドライヤーが壁にある、2つのシンクが並ぶ小さな洗面台

アメニティ類なし、ドライヤーあり。

 

壁沿いに並ぶ大きな木製ロッカーと木製ベンチ

旅行バックが入りそうな大容量の鍵付きロッカーも。

 

ピンクベージュの壁がやさしい印象の内湯

内湯は6~7人程が入れる大きさ。檜の香りが心地よく、全開の窓から見える景色もいい感じです。

 

石の湯口からは高温の源泉が注がれ湯気が立っている

湯口は触れるのが危険レベルの熱さで、湯口の温度はおそらく45~46℃程度。入るときは熱い!と思いましたが、湯口から離れた場所にしばらくいると、不思議と心地よい温度に感じてきました。体感的に42~43℃くらいかな。

 

浴槽の底に沈む大量の茶色い湯の花

そして、浴槽の底には黄褐色の湯の花がごっそり。福島県内の無色透明の単純泉でここまで大量の湯の花が沈殿しているのは貴重です。

 

かけ流しの湯が流れ出し、レンガ調の床が濡れている

化粧水のようなとろみのある源泉がじゃんじゃんオーバーフローしています。

 

壁沿いいにシャンプー類が置かれた清潔な洗い場

洗い場はシャワーが3つ。リンスインシャンプー、ボディソープ、石鹸が置いてあり、水圧も問題なし。

 

湯が入っていない4~5人サイズの露天風呂

全開の窓の外にはお湯が入っていない露天風呂がありました。宿の方いわく、この露天風呂があるのは女湯だけ。でも、地震でひびが入っていて使用できなくなっているようです。改修してお湯の状態が良ければまた再開するとのこと。ぜひとも頑張って再開して欲しいです。

 

窓から原生林が見渡せる内湯からの風景

湯口から離れたポジションで30分程入浴を楽しみました。まとわりつくような質感が気持ちよく、透明だけど濃厚な名湯でした。私は露天風呂より内湯の方が好みかも。湯上り後はクリームを塗ったかのように肌がしっとりしました。

 

その他の施設情報

掛け時計や写真、民芸品が飾られた昭和レトロな休憩所

ロビー回りには湯上り後に立ち寄れる休憩所があります。

 

箱入り菓子などが白い棚に置かれた小さなお土産コーナー

種類は少なめですが、菓子類、名産品などお土産コーナーも。

 

瓶のコーヒー牛乳と牛乳が購入できる白くて小さい自動販売機

ロビーには昔ながらの瓶のコーヒー牛乳があります。館内も周辺にも食事するところはないので、小腹がすいたら牛乳を飲むしかないですね。

 

ソフトドリンクやビールなど15種類のドリンクを扱う自動販売機

露天風呂の通路にも自販機があります。ビールもありました。

 

感想まとめ

湯の花たっぷりの全く異なる2種の温泉にじっくりは入れたので満足度の高い日帰り入浴でした。山の清々しい空気、館内の清潔さが心地よく、溜まっていた疲れたスッと無くなりました。

 

じゃらんや楽天では予約できないこともあって、福島県民や温泉好きでもないと幕川温泉の存在は知らないかと思いますが、遠方からもでも来る価値のある秘湯です。宿泊予約は吉倉屋旅館に直接電話、または日本秘湯を守る会サイトのみです。

 

幕川温泉「吉倉屋旅館」の基本情報

住所福島県福島市土湯温泉町鷲倉山1-10
電話番号0242-64-3617
定休日冬季休業(11月上旬~4月下旬)
日帰り入浴時間10:00~15:30(最終受付15:00)
日帰り入浴料金大人700円、小人

(4歳児~小学生)400円